とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

2020-01-01から1年間の記事一覧

おたけさん

小山市間々田におたけ坂という坂がある。 付近の小学校に通う児童は山からおたけさんという幽霊がおりてくるという話があり恐れたという。 令和現在の子どもは知らないようだが昭和の後半までは語られたようだ。 観光のためのサイトでは以下のようなことが書…

七夕の美男美女

田沼町旧野上村に伝わる。 七夕の朝、メズラエンゲンをとりに畑へ行くと、女なら美男が男なら美女が出るという。しかし敢えて行くと気が変になるという。また十時前にそうめんを食べると風邪をひかないという。この日墓掃除をする。 (国学院大学民俗学研究会…

ルスンギョー

田沼町旧野上村で盆の十五日には、成仏できず盆棚へ来ることのできない霊を弔うための墓参りをする。このとき茄子を切ったものと団子をあげる。この成仏できない霊をルスンギョーという。 (国学院大学民俗学研究会編・発行『民俗採訪』四十一年度 1967年 p1…

田沼町旧野上村に伝わる。 五月の辰の日には田植えを嫌う。この日田植えをすると竜に巻き上げられ、上り上り死ぬという。 (国学院大学民俗学研究会編・発行『民俗採訪』四十一年度 1967年 p103)

狐の嫁入り(田沼町)

田沼町旧野上村での話。 昭和四十一年度の調査によると、九年ほど前とつい最近にあったという話。 四十ワットくらいの橙色の電灯のようなものが二三間おきに次々とついたり消えたりしながら関氏の家から、落合氏の家の竹藪の中へ移っていったのを見た。狐の…

カマイタチ 

田沼町。 ちょっところんだりして、普通なら切らずにすむようなとき、深く切ったりするとカマイタチにやられたという。 (国学院大学民俗学研究会編・発行『民俗採訪』四十一年度 1967年 p102)

狐憑き

田沼町でかつていわれた。 昔は狐憑きがあった。油揚げなどを食べると憑くという。子孫に伝わる傾向があり、類を引くなどと言って婚姻に問題が生じる。狐が憑くと田沼町の祈祷師に拝んでもらう。 (国学院大学民俗学研究会編・発行『民俗採訪』四十一年度 196…

山の神

田沼町では猟へ行くときに山の神が嫌うとして梅干しをもっていかない。 (国学院大学民俗学研究会編・発行『民俗採訪』四十一年度 1967年 p82)

ガチャガチャ(さいかちの実)

田沼ではさいかちの実のことをガチャガチャという方言で呼ぶ。 コト八日の大マナコの日に魔除けとして使用し、薬草でもある。 昭和四十一年度の調査時では老年層は知っているが中年層は知らない人が増えているということである。 (国学院大学民俗学研究会編…

鬼 節分のいわれ

鬼とは一番強いもの。節分のときにヒイラギの葉を鰯の頭と着けておくがそれはヒイラギのとげが鬼の目を突くからである。

鬼 豆まきのいわれ

大神宮さまがこの世をつくったときに、大豆小豆麦小麦米を作り、秋には大豆が一番先に食べられるので大豆をまいた。 鬼がそれを持っていってしまうのでネズミをつくり、大豆をくわせた。 すると鬼は猫をつくりネズミをとらせた。 それで仕方なく豆を煎って鬼…

地蔵様の怪異

喜連川町は鷲宿梶内にある地蔵堂のご本尊は見ると眼がつぶれると言われる。十年に一度、ご開帳があり、お召し替えがあるが、松岩寺住職が丑三つの刻に行うため、通常見ることはできない。 若者たちが見てやろうと堂を覗くが見えないので、小刀で羽目板を切り…

十三年おきの火事

喜連川に伝わる。 鷲宿の山谷には十三年ごとに大火事がある。 昔、みすぼらしい坊さんのような人が流行り病を治してくれた。しかし、その坊さんを焼き殺してしまった人がいたために、十三年ごとに火事があるという。 (『喜連川町誌』p526~527)

狐の大木

さくら市喜連川につたわる。 大槻という名前の大木から光が出ていた。 ある日庄屋が木こりを頼んでその木を切ることにしたが、のこぎりで切っても次の日にはおがくずが元のようになっている。庄屋はおがくずを燃やすようにして対処した。するとその晩大槻の…

カマキリおばさん

『親と子のための栃木の学校の怪談』にある話。 1994年の発行の本だが、20代の女性から聞いたということが書いてある。 口裂け女の話が下火になったころ、宇都宮で結構流行ったという。 カマキリおばさん、あるいはカマキリ女は、下校の途中、両手に鎌…

安珍と清姫

南河内に伝わる話。安珍という人が寺に云って、茶屋で休んだ。その茶屋の子どもが夜泣いて仕方がないので、治してくださいといった。安珍は子どもを抱き上げ「泣くなよ、泣くなよ、我が妻とする」というと、その子どもは泣き止んだ。それから十三年たつとも…

化け猫

南河内につたわる話。 昔、お坊さんになりたい猫が毎晩棒をくわえてきては、お坊さんの身体を測っていく。 本堂の下に猫はお坊さんが入るだけの穴を掘った。 測り終えたら猫はお坊さんの喉笛くわえて殺し、 猫がお坊さんに化けて、お坊さんのことは縁の下に…

大神宮様の火の玉

田沼町に伝わる。 長谷場字炭屋にある森下菊次郎家の旧氏神で、明治四十年ごろまでは柚の木にあった。 その頃近くに大火があり、煙が大神宮様に流れ込み火の玉が飛び出して、稲村の河原へ落ちた。 通りかかった屑屋が光る石を見つけ、大神宮様の石というので…

大蛇の流木

田沼町に伝わる。長谷場木戸橋の東の田の中に、三基の供養塔が立っている。この中に「南無阿弥陀仏・延享四卯四月七日」と彫った阿弥陀如来像がある。この像の由来。 ある春の日、三日三晩も続く大暴風雨があった。入山の奥から土砂を含んだ濁流は立ち木を根…

釜ヶ淵の大鯉

真岡市東沼 さくらし(旧氏家市)勝山には、かつて勝山城という城があった。 勝山城には二人の姫がいた。 姉は色が白いので雪姫(イギヒメ)、妹は赤い頬だったので紅葉姫と呼ばれていた。 勝山城が周りの国から攻められ、釜ヶ淵に一緒にお城を出て高い崖から飛…

唐辛

日光に唐辛という真っ赤な鳥がいて、これが鳴くと雨が降る。ミヤマショウビン(水乞鳥のことか)と杉谷流翠が記している。(杉谷流翠「鳥の聲蟲の聲」『完全復刻旅と伝説』七巻 岩崎美術社1978年 p617 初出は1931年) 実際にいる鳥だと思われるが、未…

大田原城

大田原城には蛇の話がある。落人の武者たちが那須野を行くうちに日が暮れある家に宿を求めた。 主人は快くもてなしたため、落人は眠りにつくと夢を見た。 一匹の白蛇が自分に向かってお辞儀をしているというものだった。 翌朝村外れまで来ると、蛇の形の丘を…

臥牛城

那須烏山の西方に那須与一が築いた城趾がある。 那須与一は城を築くときに数十頭の牛を屠ってその礎のしたに埋めた。そのときに血が流れ川となり血水川ができた。後の清水川である。 臥牛城は常に不思議な気が立ち、敵が近づくと城は臥牛の形となり、うなり…