とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

臥牛城


那須烏山の西方に那須与一が築いた城趾がある。
那須与一は城を築くときに数十頭の牛を屠ってその礎のしたに埋めた。そのときに血が流れ川となり血水川ができた。後の清水川である。
臥牛城は常に不思議な気が立ち、敵が近づくと城は臥牛の形となり、うなり叫んで大地を振動させた。敵が城門に近づくと城内の大地に大きな亀が現れて水吐き出す。その水は濃霧となって敵を惑わした。
その城は臥牛城と呼ばれたが、那須家滅亡のあとは不思議な力を失って、荒廃したという。


(小寺融吉「城の怪異」『完全復刻旅と伝説』七巻 岩崎美術社1978年 p123~p124 初出は1931年)