とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

2019-01-01から1年間の記事一覧

古峰ヶ原(遠野物語拾遺)

野州古峰ヶ原は火伏の神として遠野地方にも信心する人が多いと、遠野物語拾遺の六五にある。 この神様は非常に山芋が好きだということである。講中のものは競って山の長芋を献上する。その献上の仕方は自分の屋根の上へ古峰ヶ原の神様に上げますと言って芋を…

蛇骨塚

国分寺町本町の西端花見ヶ岡の裏手に蛇骨塚と呼ばれるところがあり次のような伝説がある。 鎌倉時代にこの地にすんでいた川井兵部の妻は夫への嫉妬心が高じ、大蛇に変身し、寺の池に住み人々を悩ませた。 村人たちはこの大蛇を慰めるため人身御供をさしだし…

オトカサマ

栃木県足利郡月谷町下の宮の飯綱神社には次のような話がある。明治の中頃までは本社殿の下にオトカサマが穴を掘って住んでいる。オトカサマはキツネ又はムジナと考えられるという。その動物の出入りで人の吉凶を占った。またオトカサマは人間に憑くものであ…

モモンガア

栃木県教育研究所に「下野の故事ことわざ」調査協力校から寄せられた事例に「夜泣くと屋根裏からモモンガアが来て連れてって頭から塩つけて食べてしまう」という事例がある。(臼田甚五郎監修『下野の故事ことわざ辞典』三弥井書店 1981年 p121) 具…

ボーツパキ

芳賀郡では五月六日をボーツパキという。 この日は田の中に入ると足が棒のごとく腫れるといって仕事を休む農家が多かった。 須藤村千本地方では那須与一が扇の的を射るときに「五月六日我が領内に田の中に入るものあらば足を棒ぱぎにするから扇の的を射させ…

カッパ(風呂の中)

風呂の中で赤子にお乳を飲ませるとカッパに引かれる(小林政一郎「那須郡の俚諺的俗信」「旅と伝説」三元社 第九年二月号、通巻98号 p14 「 完全復刻 旅と伝説」17巻 岩崎美術社 1978年) 下都賀郡でも雨をなめたまま風呂に入ると腹に虫がわくということをいう…

蛇王様

蛇王様 小山市の下生井 庄屋の大橋弥右衛門の屋敷におまつという少女が抒中奉公していた。 誰からも可愛がられ、特に主人の弥右衛門からは可愛がられたが、そのために周囲からねたまれ殺された。 それから家の回りに人間の舌をした白蛇が現れるようになり、…

血とりばあさん

大正八年野木町生まれで、教員をした長浜精が子どものころに母に聞いた話。母が足踏みの米搗きをしていると、百回とか二百回とかいって手伝った。手伝いながら話を聞いたり唄を聞いたりした。その中に「血とりばあさん」や「花屋敷の黒豹」という話があった…

山犬さん

大山田。 昔、オカネさんが横山の酒屋で酒を買い、コモト峠を越えて下ってくると途中沢の方からオカネさんおカネさんと呼ぶ声がした。 オカネさんは声を頼りに沢の方へどんどん入っていったがそのまま二度と戻らなかった。 後に村の人はオノ沢の木の下にオカ…

地蔵を縛る

鈴木霊嶺が田中貢太郎に語った話。明治43~44年の頃の話。 栃木県芳賀郡中村では干瓢が重要な作物であった。 石島と竹田という農家の家の畑から干瓢が盗まれる。 二人は地蔵に参詣したがききめはなかった。十四日目の晩に荒縄を持っていって地蔵の首を締…

野木の明神さまの蛇

野木明神の本体は蛇だという。昔、偉い神様が日光街道をお通りになるときに方々の神様が出迎えたが明神様だけが出てこない。出迎えさせようとして訪ねてみると、一の鳥居から三の鳥居まで七巻きまわるほどの蛇が出て来た。あまりにも大きな体であったため、…

椿坂の化け物 椿坂の古狸

黒磯市と那須市の境、西岩崎から半俵の間に椿坂という坂がある。半俵の半兵衛という人が駄賃つけて大田原から帰ってくると、その坂では夜になってしまう。その坂では「市兵衛さん今かい」と毎晩聞こえる。いつも声をかけてくれてありがたいからここへ来なさ…

三鬼尊

栃木市旭町にある満福寺には、3体の鬼の像が祀られている。 この青鬼、赤鬼、黒鬼を三鬼尊という。正月十六日と八月十六日の縁日には子どもをお参りさせ、それまでの悪さを懺悔させたという。 このうち中央の青鬼は体を鎖で巻かれている。 その由来として、…

大工の娘の幽霊

光徳寺を絶てるとき、柱を細かくきざんでしまった。 大工が心配して帰ると娘が、「それではマスガタをつけたらよかろう」というのでそうした。 光徳寺の建物はうまくいったが、娘が、親以上だというので恐ろしくなり殺してしまった。 それから建前のときに幽…

八内猫

高林の禅寺に高林寺というのがある。その寺の裏に墓がある。木綿畑新田の住人が大田原に駄賃付けして、夜そこを通りかかったらにぎやかな三味、太鼓の音がした。のぞいてみると狐と狸が躍りを踊っていた。その歌の文句に「八内猫が来なければ、さっぱり調子…

解石神社の解石

那須烏山市下境にある解石神社の奥の宮には御神体である解石がある。 鏡石とも呼ばれ、玄翁和尚が殺生石を那須野が原で叩き割ったときに飛んできたという。 狐の祟りを恐れた下境の人々は村の安全をいのるために社を建てたという。 (村上健司『日本妖怪散歩…

オビクニ(お比丘尼)様

昔、庚申の晩は夜明かしするものだと言われて夜遅くまで世間話をしていたものである。 その時には大豆を炒って砂糖を混ぜて食べていたものだが、ある時この豆の中にタニシが一つ入っていて、それを食べた人がお比丘尼差までその後長生きした。 (都賀町史編…