とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

2018-01-01から1年間の記事一覧

釜が渕

60年ぐらい前まで、釜が渕に遠足に行くとその日が晴れ、翌日は必ず雨が降った。(『日本怪異妖怪大事典』p152 出典は『粕尾の民俗』p249)

熊蜂の頭

真岡市での俗信。「熊蜂(くまんばち)の頭を持っていると狐にだまされない」という。(真岡市史編さん委員会編『真岡市史』第五巻 民俗編 真岡市 昭和六十一年 p1202)

継母の怨霊

今野圓輔が「犬著聞集」からとして著作のなかで紹介している。 下野国那須の下蛭田村に助八という男があった。 実の父母は早く死に、継母ばかりであったが、助八はこの継母に辛くあたった。ある日助八に向かって、「お前は私をひどい目にあわせるが全て物に…

神隠し

田沼町の野上村での話。 ある日村内の子どもがいなくなった。消防団を動員して一晩中探したが見つからない。 ところがその次の日にその子が大木の根本にボーッとして立っていた。その子の話によると、自分が夕方山道を歩いていくと、何やら白いものが見える…

カエモンムジナ

ジョウネンボというところでカエモンが猫を殺して食べた。残った肉を持って帰るとウラザワでひきまわされた。それ以降は毎年ウラザワにムジナが出た。カエモンムジナと呼んだ。(日本民俗調査報告書集成 栃木県 p483)

ノッペラポンのキンライライ

尻取り文句にノッペラポンのキンライライが出る。 高橋勝利が子どもの頃に尻取り文句のノッペラポンのキンライライについて聞いたことには、金来寺の和尚の顔は一つ目のノッペラポンで、それににらまれると一つ目にされてしまうというようなことであったとい…

焼森山の天狗さま

焼森山は天狗がいるが、天狗さまは御詠歌が好きで、よく大声で山の中腹をかけまわりながら唄っているのが聞こえるそうだ。それから昔は赤目炭を焼くので、夜通し起きていると、山小屋の上に大きな木でも倒すような音をたてたという。 (高橋勝利「下野逆川村…

雷神穴

焼森穴の雷神穴から雷様が出るのだと村の人は信じている。その穴から賽銭や綺麗な小石を持ってくると気ちがいになる。 (高橋勝利「下野逆川村話(一)」 高橋勝利編「芳賀郡土俗研究会報」2号 芳賀郡土俗研究会 1929年 14裏)

ガンゴジー

ガンゴジーとはお化け!というような意味で子どもを驚かすときに使うという。 (高橋勝利編「芳賀郡土俗研究会報」逆川村方言号 芳賀郡土俗研究会 1930年 2裏)

鶴亀井戸の片目魚

焼森山の鶴亀井戸には片目の魚が住んでいる。 それを捕まえてきても途中で木の葉になってしまう。高橋勝利「下野逆川村話(一)」 高橋勝利編「芳賀郡土俗研究会報」2号 芳賀郡土俗研究会 1929年 14裏)

八ツ目鬼

逆川村では十二月八日と二月八日に屋根に目篭を立てる。八ツ目鬼が来ても自分より目が多いので恐れて家へ入らないからだという。 (高橋勝利「俗信 かごに関するもの」高橋勝利編「芳賀郡土俗研究会報」2号 芳賀郡土俗研究会 1929年) それを受けて高橋への山…

あづきっとぎ

栃木市の話。 昔子どもたちの仕事は子守り、風呂汲み、それから夕方の酒買いだった。人家もまばらで外灯もないところを徳利をさげ、小銭を温かくなるほど握りしめていく。 ひどいぼさっか(薮のこと)の中の用水堀沿いの道を走るように通り抜けようとすると、 …

アズキトギ坂

芳賀郡小貝村大字文谷にはアズキトギ坂という坂道がある。昔そこを夜遅く通ると、ゴッチャゴッチャと小豆をとぐ音がしたという。 (高橋勝利「米とぎ婆さまと小豆とぎ婆さま」高橋勝利編「芳賀郡土俗研究会報」1号 芳賀郡土俗研究会 1929年)

アズキトギ池

逆川村大字小山と小幡の境の河原地にアズキトギ池という池があってこの池から「小豆とぎましょか 大豆とぎましょかゴシゴシ」と豆をとぐ婆さまの声が聞こえるという。 (高橋勝利「米とぎ婆さまと小豆とぎ婆さま」高橋勝利編「芳賀郡土俗研究会報」1号 芳賀…

足かき婆ぁ

清水(注 旧逆川村の深沢の清水)の山口境の土橋の下に足かき婆ぁがいて、そこを通る人の足を、ガリガリと引っかくという。(高橋勝利「米とぎ婆さまと小豆とぎ婆さま」高橋勝利編「芳賀郡土俗研究会報」1号 芳賀郡土俗研究会 1929年)

小豆とぎ婆さま

芳賀郡逆川村小貫の明神様の門あたりに晩方になると、小豆とぎ婆さまが出て、ヂャッカヂャカジャッカチャカと小豆をとぐ音が聞こえるという。 逆川村大字深沢の清水の「ムカヒ坂」の橋のところに小豆とぎ婆さまがいて、そこを帰るとヂャラヂャラと小豆をとい…

鯉のぼりのたたり

国分寺町の箕輪には鯉のぼりを立てない。 理由は、お城があったが五月にお城が滅ぼされたからということが多く言われる。 また、鯉のぼりの旗を敵の旗と勘違いして城を捨てていったということなどがいわれる。 ある家で男の子が生まれ、鯉のぼりを立てたとこ…

庚申山の猿になった子

八嶋定岡の『猿著聞集』(文政十年序)の二巻の「足尾村の何がしが子山に入て猿になりし事」による。 足尾のある人の子どもがどこかへ行ってしまった。両親はとても悲しみ、十日ばかりして庚申山という山へいった。岩の上に猿がたくさん遊んでおり、そのなかに…

ナラの木

田沼町での話。 「ナラの木でミツマタが出ているのを山の神様にあげると、山の神様がそこで休むといわれる。そのナラの木を二・三年前に切ったら「ヒエーヒエー」と音がして切りくずを吹き出したという。しかし賢い人がいて、山の神様の怒りでないことを説き…

ズイトン

芳賀郡東高橋では子どもが遅くまで起きているとズイトンが来るぞとおどかされたという。 ズイトンは主屋に雨戸の穴を見つけると尻尾を入れてきてズーイと引っ張るのだという。その抜けたときにトンと音がすることからズイトンと呼ばれているが、その姿はわか…

天狗だおし

田沼町に伝わる。 山仕事に行って昼寝をするときに山の神様に「いついつになったら起こして下さい」といって寝る。するとその時刻になると大木の倒れる大音響で目が覚めるが、何も倒れていない。 (国学院大学民俗学研究会編・発行『民俗採訪』四十一年度 196…

老猿

鹿沼市の世間話として報告がある。世間話と報告に書かれるからには話者に近い時代が想定されていたのだろう。 アシ沢に昔、老猿が住んでいた。 老猿は猟師である夫に化け嫁と契った。やがて嫁は毛むくじゃらの赤ん坊を産んだ。夫はその子を投げ捨てておいた…

山の神

田沼町に伝わる。ある朝山へ二人で行って、仕事をしながら山の神はいるかいないかと言い争っていた。山から帰る途中で山の神様が背負っているかごを後ろからゆさぶったという。 (国学院大学民俗学研究会編・発行『民俗採訪』四十一年度 1967年 p75)

質屋の女

下野市南河内の世間話。 坪山の質屋で働いた女性に狐憑きと呼ばれた奉公人がいた。 うちの中へ、何か来るとか、石がゴロゴロ入って来るなどの変事が起きた。その女性がおかしいということになり、よそへやったらそれがなくなったという。 (『南河内町史』民…

人をよぶムジナ(戸叩き型)

藤岡町に伝わる。 むかし、渡良瀬川の向こうから人を呼ぶ声がする。村の人たちはムジナの仕業といった。ある夜、夜なべ仕事をしていると人を呼ぶ声と戸を叩く音がしたので「ムジナ汁にしてしまうぞ」と怒鳴ったら、人の名を呼ぶ声も戸を叩く音もしなくなった…

和光院の狐(戸叩き型)

栃木市に伝わる。皆川寺明院の末寺の東宮和光院というお寺が城内神田にあった。住職は素頓(すとん)坊といった。 素頓坊は夜な夜な誰かに起こされる。 寝ずの番をし、戸の隙間から外をうかがっていると、大きな狐が現れ、そのふさふさしたしっぽで戸を上から…

狐の嫁入り(南河内)

南河内の薬師寺一丁目に下陰(したかげ)というところがある。そこには丘があり稲荷神社があるので、そのあたりを稲荷台(いなりだい)といった。そこから、田中の方へ下る坂を夏目坂という。そこには狐にまつわる話が伝わる。 ある若者が家に帰ろうとしたが大き…

眠猫

眠猫(ねむりねこ)は、日光東照宮奥宮参宮入り口の、東廻廊の潜門の上にある眠っている猫の彫刻。 左甚五郎の作という。 この眠猫は、魔除けの猫ともいわれ、この彫刻のあとに東照宮には一匹のネズミもいなくなったという。(日光市史編さん委員会編『日光市史…

死の予兆の音

南河内町の馬場(ばんば)に薬師堂がある。人が死ぬときにはそこから米搗く音がするという。 (『南河内町史』p993) また、田川の橋の墓場には人が死ぬ前の晩にはお膳の茶碗、お椀を川で洗う音がするという。 (前掲p993~994)

京路戸山の大蛇

田沼町に伝わる。 田沼町多田から岩舟町小野寺との間には京路戸山を通る山道があった。 昔からここで大蛇を見たという人がおり、きのこをとりに行った老人が蛇に飲まれそうになり、やっとのことで家に帰ったが幾日も起きられなかった。また、子どもを連れて…