とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ウシロガハラ

那須郡大山田村にある地名。ウシロガハラの畑は、「禰宜様以外の人が作るとカカアが死ぬ」という。 ( 國學院大学民俗学研究会編・発行「民俗採訪」 昭和二十八年度号 1954年 p17)

狐かげん

那須郡大山田村でいう言葉。 狐に化かされやすい利口でも馬鹿でもないひとのことをこう呼ぶ。 狐は馬鹿な人は馬鹿にして化かさず、利口な人は化かされてしまうといって化かさないのだという。 ( 國學院大学民俗学研究会編・発行「民俗採訪」 昭和二十八年度…

蛇(縞蛇・クチハビ・カナワ蛇)

栃木県那須郡大山田村での調査報告「民俗採訪」に「縞蛇は人を食う」とある。 またクチハビは長さが五十センチほどで体に星があり、触ると人も蛇もともに死ぬという。 「カナワ蛇は小さな蛇で体に赤い筋があり跳び上がる」ため、「木に登っても跳びかかって…

馬首の井戸・馬影の井戸

大中寺七不思議の一つ。 現地には馬首の井戸として看板が出ているが、『大平町史』やその参考元である『大平町ふるさと民話おおひら風土記』など馬影の井戸と書かれたもある。 土地の豪族晃石太郎が大中寺に皆川との戦いに敗れ逃げて来た。住職は匿うことを…

油坂・すべり坂

大中寺七不思議の一つ。 修行僧の中に夜中、仏前の照明の油を盗み勉学に励んでいたものがあった。ある時暗さに道を踏み外して修行僧は死んでしまった。話を聞いた人は弔おうと石を積み供養し、いつしか坂ができたが、凶事があるとして誰も通るものがなかった…

枕返しの間

大中寺の七不思議の一つ。 この部屋で東向きに寝ると朝には西向きになっているという。この話を聞いた僧侶の中に、この部屋で寝た者がいる。仏に足を向け寝た所夜中に目が覚めた。体の向きが変わったうえに、石のように動かせず、大声をあげて助けを求めたと…

不断のかまど・不断釜(ふだんがま)

大中寺の七不思議の一つ。 修行僧が釜の中に隠れ、いつしか眠ってしまっていたところ、他の僧がそれに気づかず火を点けてしまった。修行僧は重い蓋がなかなか開かず、やっと飛び出したが、間もなく苦しみながら死んだ。遺言として自分と同じような人を出さな…

あかずの雪隠

大中寺七不思議の一つ。 佐竹小太郎が皆川に追われ、大中寺にいるとの噂を聞いた奥方。たどり着いた大中寺で小太郎の最期を知り、寺の傍らにある雪隠(せっちん)に入り出てこなかった。不思議に思う人が開けるとなかで自害していた。この事を僧侶は憐れみ、奥…

門前の杉の木

大中寺の七不思議の一つ。ただし、現在の大中寺の案内板などでは、七不思議の一つには入れられていない(七不思議には異同がある)。 大中寺の参道の杉並木の杉は、何度数えても数が合わないという。( 磯貝宗楽「各地の七不思議(上)」「郷土趣味」17号郷土趣…

東山の一つ拍子木

大中寺の七不思議の一つ。 東の山で一回だけ拍子木の音がする。 一説によればその音は住職にしか聞こえず、また、その音が聞こえると寺に異変があるという。 またその音が聞こえてから寺が火事になったという話もある。 太平権現のお告げや天狗のしわざなど…

のっぺらぼう

のっぺらぼうといえば顔のないお化けのことだが、栃木県の子守唄「ねんねこどっちん」にはのっぺらぼうが出る。 「ねんねこどっちん亀の子どっちんソラのっぺらぼう」などという歌詞だが、意味はよく分からないため、お化けかどうかもわからない。形容表現か…

小倉橋の河童

栃木市の西方町には小倉橋という橋があり河童がでた。 小倉さんという侍に河童が斬られた。 それから川沿いを歩くときに「俺は小倉だ」といってあるくと襲われないという。 この話は2017年に宴席で偶然聞いたが、このように、まま語られているようである。西…

宇都宮城の釣天井

本多正純が徳川家の将軍を宇都宮城で暗殺するために、釣天井をつくらせた。 釣天井とは、その名の通り、吊り下げられた天井で、部屋にいるものを天井を落として殺す仕掛けである。 その際、その秘密を知る大工は殺された。しかし、大工が幽霊となり真実を知…

お化け沼の主

お化け沼は現在の渡良瀬遊水地、谷中村あとにある。地元民がいう呼び名であり、戦中戦後の生まれの者はとくによく使用していた。 お化けというのは「大きい」という意味でお化けのことではないと地元の方々はいう。 「関東タイムス」の昭和十三年七月二十九…

赤い服の女の人

火事になった家に入ると赤い服の女の人がおり、見つけるとついてくる。その人が家の庭に入るとその家は火事になるという。 (昔話伝説研究35 p154)

三番目のトイレの手

松谷みよ子『現代民話考』に投稿された話。 宇都宮市昭和 小学校の昭和三四年頃の話。 昼、十二時になると、左から三番目のトイレの戸があかなくなる。また、下から手が出る。 ( 松谷みよ子『現代民話考』第二期 Ⅱ 学校 p81)

城跡の校舎

松谷みよ子『現代民話考』に寄せられた噂。 壬生 中学校は壬生城の本丸跡に建てられ、この堀を埋め立てるにあたり、土に多くの人々が埋もれ、その霊が古い廊下をギシギシいわせて歩くという話。( 松谷みよ子『現代民話考』第二期 Ⅱ 学校 p32 )

墓地の上の校舎

松谷みよ子現代民話考にある、宇都宮市内の中学校の噂。 校庭を広くしようと近くにあった墓を潰して拡張した。そのうち雨がしとしとと降る日はお墓のあった場所だけが濡れず乾いたままであるという。(松谷みよ子『現代民話考』第二期 Ⅱ 学校 p25) 雨が降ると…

海坊主

松谷みよ子の「現代民話考 その五 学校の怪談」『民話の手帳』5号 蒼海出版1980年( 後に『現代民話考』第二期Ⅱ 学校 1987年に収録 文庫版はちくま文庫2003年)に妻から聞いた話として寄せられた報告。 栃木県鹿沼市立中央小学校に、昭和十七年、便所に海坊主…

河童のお皿

小山市に伝わる。小山市の田川のシノハラという人は河童の皿を持っているという。そのいわれは、農作業に使う馬の尻に河童が食いついたので、捕まえて殺そうとした。河童は命だけは助けてくれというので、川へ放した。幾日か経ち、再び川に河童が現れ、お礼…

ユキ沼

下野市南河内町に伝わる。鬼怒川のへりにユキ沼というのがある。 子どもはあまりそこで泳いではいけないとされる。 なぜなら、そこは昔、ユキという人が溺れて死んだのでユキ沼という名前になった。深いところがあって引っ張り込まれるという。 (『南河内町…

狸の化けそこない

南河内町では、狸が体に藤蔓を巻いて現れることがあり、家の中に入ってくることもあった。藤蔓を巻いたのが化けたつもりなのだろうと言われた。(『南河内町史』p989)

カクレボウさま

yokai-tochigi.hatenablog.com カクレボウーさま。カクレボーさま。などとも。カクレボウさまに連れていかれ、うどんだと出されて食べたのがミミズだったとか、お饅頭だと言って出されたのが馬糞であったりという話があった。 (『南河内町史』p976)

信田の狐

南河内町に伝わる。信田の森の狐は帰っていくときに筆をくわえて障子に「尋ね来よ、信田の森に」など書いていったという話が断片的に伝わっている。(『南河内町史』p967)

イズナ使い

下野市では、イズナ使いと呼ばれる放浪の霊媒者が来ることがあったという。イズナとは憑きものであり、小動物と考えられるものである。 下野市の川中子では、結婚話や運勢の占いをイズナ使いに頼むと、背負ってきた箱を前に一心不乱に呪文を唱える。そのうち…