大神宮様の火の玉
田沼町に伝わる。
長谷場字炭屋にある森下菊次郎家の旧氏神で、明治四十年ごろまでは柚の木にあった。
その頃近くに大火があり、煙が大神宮様に流れ込み火の玉が飛び出して、稲村の河原へ落ちた。
通りかかった屑屋が光る石を見つけ、大神宮様の石というので神社へ奉納した。この石が神社に残っている。
七十年くらい前(昭和57年発行の本のため、調査時期はそれ以前)、のころに小さい社を一か所へ統合することになった。そのころのある夏、炭屋の西の山すそに夕方から夜にかけて毎晩不思議な火の玉が出たことがあった。
祈祷師に見てもらうと、大神宮様は他の神社と違うので、一緒になることを嫌っているといわれた。神社統合の話が中止になると、いつの間にか火の玉は出なくなった。現在の大神宮様は、火の玉が出たという付近に祀られている。