とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

安珍と清姫

 南河内に伝わる話。安珍という人が寺に云って、茶屋で休んだ。その茶屋の子どもが夜泣いて仕方がないので、治してくださいといった。安珍は子どもを抱き上げ「泣くなよ、泣くなよ、我が妻とする」というと、その子どもは泣き止んだ。それから十三年たつとものすごく綺麗な娘になっていた。安珍はその娘、清姫をみて随分きれいになったと声をかけると、赤ちゃんの頃のことだが安珍を覚えていた。清姫の体には蛇のこけらが付いていた。安珍は恐ろしくなっていたが、清姫は何としてもお嫁さんになりたいというので恐ろしく、寺へ逃げた。そうして寺の釣り鐘をお坊さんに頼んでかぶせてもらった。清姫はヘビになってぎりぎりぎりぎり絡んで安珍を殺してしまった。

(『南河内町史』p970)