とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

2018-01-01から1年間の記事一覧

ヤマガミ様

南河内町に伝わる。子どもの頃にいつまでも外にいると、山の神様とかヤマガミ様、オーガミ様、イヌガミ様が来るから早く帰るようにといわれた。また、人隠しがくるから早く帰ってこいともいった。( 『南河内町史』p975) 子脅しの怪である。おなじく南河内…

ハナトリ塚

南河内町薬師寺にハナトリ塚という塚があった。 ハナトリ塚という名前の塚は複数あった。 田中のハナトリ塚と呼ばれたところでは、馬を引っ張る鼻取りの鼻取り小僧がいじめられ殺されたが、その怨念が祟るのを防ぐという。 伝説であるが、そうしたところの田…

オンバショウ塚

南河内町薬師寺にあったという塚。 雨の降る晩に「オンバショウ、抱っこしょう」と子どもがピチャピチャ歩いて通るという。 昔はお子守小僧という学校も行かないで子守に出される子どもがいたが、それが悲しくてそこで泣き死んでしまったという話もあったら…

三峰様

三峰様は盗難避けの神様である。 南河内町に次の話が伝わる。 信じて祀った家で毎晩米が盗まれる。これほど信心しても泥棒が入るのでは信心をしないと神社に対して家の主人が怒った。 すると、その明日の晩泥棒をみると、家の息子であった。息子は米をどこか…

【こらむ】大佐用のこと・栃木の智子さん

大佐用156にこのblogが。 (http://yokaidoyukai.ho-zuki.com/taisayo156.htm) また、この記事以外は淡々と更新していきますが少しかわったことを記念として。 氷厘亭氷泉さんは稀代の俗信愛好家である。 大佐用ではミミズの絵を書いてくださった。 ミミズが…

十の字

ムジナには白い毛で十の字がかかれている。 本当に見たことのある人は少ないが、鉄砲うちに見せてもらうと本当に胸に縦に一本、へそのあたりに横に一本、白い毛で十の字がかかれていた。 「あいつはムジナだ」とか「十の字だ」という悪口がある。 (『栃木市…

犬神様と弘法様

南河内町本吉田にある。弘法大師はインドから麦の種を持ってきて伊呂波四十八文字は中国からもってきた。そして弘法は犬を殺したため、弘法と犬を祀ったという。十二師団が練兵場にした際に、邪魔になったので、弘法様と犬神様を移動させた。そこへ輜重隊や…

子育て幽霊

身持ちの女の人が亡くなり、墓へ埋められたが、夜中になると出てきて、墓場へ帰っていく。なにか必要なものを仕入れて墓場へ帰るのだろうか。そういうことが昔あったと言われている。 (南河内町史編さん委員会編『南河内町史』南河内町p959)

黄梅寺の生まれ変わり

南河内に伝わる。昔、黄梅寺という寺があった。現在は石碑と印塔だけが残っている。 見龍という僧侶は人に慕われ、亡くなったときにまた黄梅寺の僧侶に生まれ変わってもらうために墨で背中に黄梅寺と書かれた。背中に黄梅寺とかけばそういうあざの赤子が生ま…

墓地の俗信

墓で転んだときの俗信。 墓で転んだときには履き物を片方置いてこなければならない。 また、墓地で転ぶと三年以内に死ぬという俗信も広くある。(鳥畑隆治「国々の言い習はし(五)」「郷土研究」3巻2号郷土研究社 1915年 p56)

チュッシー

中禅寺湖で目撃されたという未確認生物。 UMA。ネス湖のネッシーのように日光にも未確認の生物の目撃情報があった。平成になってからも冗談のように会話にのぼることがあったが、ネッシーブームの産物の一つと思われる。

食用蛙の鳴き声

食用蛙はウシガエルのこと。 栃木市神田町で、夜な夜な牛の声に似たうめき声がする。 男達が集まり、堀端から正体を確かめようとしていると、買いたての自転車で帰りの人が通りかかった。大勢の人がいるので何事だろうと思ってよそ見をしているうちに川に落…

蚯蚓の鳴く声

芳賀郡でのミミズの声の聞きなしに「栗の花長く咲いて円くなれ」というものがある。 (加藤嘉一・高橋勝利編『下野昔話集』1975年 岩崎美術社 p167) ミミズの声がそう聞こえるということだが、ミミズは鳴かない。 栃木の例に限らずミミズが歌うとか声を出すと…

米とぎ婆さん

芳賀郡の童謡に「米とぎ婆さん晩方サーラサラ 薬師様でサーラサラ 子供さらべとサーラサラ」というものがある。 米磨ぎ婆さんという人さらいが、芳賀郡逆川村の木幡村にある薬師堂に住んでいたという伝説から生まれた歌。 (加藤嘉一・高橋勝利編『下野昔話集…

三人小便

芳賀郡の童謡。「三人小便地獄へやんな三人小便地獄へやんな」というものがある。 三人で並んで立ち小便をすると、そのうちの一人が死んでから地獄へ落とされるということから。 もし、三人並んでした場合には、着物の裾をくわえ、片足回りを三回すれば良い…

くまんざばばあ

栗山村に伝わる山姥。熊野沢婆。熊野沢(くまんざ)は栗山村の川俣の近くの大きな沢。イワナやサンショウウオなどを採集できる、人々の生活に欠かせない場所であった。そこに住むといわれた婆。 以下の昔話にくまんざばばあは登場する。 くまんざばばあに会い…

山の神と狐

那須郡大山田村でいわれる。 山の神の怒りで子どもが狐に殺されることがある。母親がどんなに強く子どもを抱いて寝ても知らぬ間に子どもはいなくなり、囲炉裏の中で死んでいるという。(民俗採訪 p19) 子どもが事故に会い、山の神や狐の仕業とされたものだろ…

河童(那須郡大山田村)

那須郡大山田村で言われる。川で水浴びをしていて時々人間がケタケタと笑って沈む。 程なくプウーッと浮かんでくるが、死んでいる。河童に内蔵を食われたからだ。 河童に引きずり込まれる人は肝が紫色であるという。 (『民俗採訪』 p19)

黄鮒

宇都宮の郷土玩具。黄色い鮒を食べると病が治ったことからつくられるようになったとのいわれがある。

おうらさん

矢板市泉区に伝わる。矢板の平野村におうらさんという人がおり、隣村に嫁いだ。 夫婦仲は良く、お人好しであった。そのため、保証人になり他人の借金のために屋敷まで手放してしまった。それでも黙々と働いていた。おうらさんが三十三歳の厄年のときに家に帰…

寺山観音寺の幽霊

矢板市に伝わる。 老婆が亡くなり組内のものが二人で寺山観音寺の住職に知らせにいった。地蔵坂で暗くなり、蟻が腰という所まで来ると白い着物の人が黙って二人の間を通り抜けていった。 寺につくと、住職は既に女性が亡くなったことを知っている。 驚き、…

ソラデ

各地に伝わる。 手が痛むことがあるが、それをソラデという場合がある。 栃木市では障子のさんから手を出し、男なら女、女なら男の両親揃ったしまいっ子(末っ子のこと)に黒い糸を結んでもらうと治るという。 那須郡大山田村では腕首の痛いときに「ソラ山のソ…

靴をおろす作法

靴をおろすときに「ぜにめっかりかねめっかり」と唱え、靴の裏に唾を吐きかけ二つを擦り合わせる。 金が見つかるというまじないである。

腐らない蛇

蛇年のみ行われる行事が太平山にはあるという。そのときに蛇が見つかる。その蛇は決して腐らない。神社に保存してあるとの由。

墓場の火の玉

岩舟町静和の家から風呂に入り墓をみると光るものが見えた。火の玉だと思ったが、後々鳥が夜に飛ぶと光るのだという話を聞いたので、それだろう。 という世間話。本人の体験談。 鳥が光るというのは古くから言われ『和漢三図会』に既に見える。

幽霊の腰掛け石

矢板市に伝わる。 寺山観音寺の参詣道のうち平野口から地蔵坂を登ると、右手に大石地蔵という地蔵がある。 そこから少し登った蟻が腰という狭い尾根を抜け右手の道の端に幽霊の腰掛け石という石があった。 現在は新道工事の際に埋もれたらしく見当たらない。…

慈光寺の子どもの霊

湯西川の伴久旅館に伝わる。昔、凶作や疫病で村の子ども達が次々死んだ。 慈光寺の和尚がある晩目を覚ますと本堂から泣き声が聞こえる。不審に思って行くと、死んだ村の子どもたちがお腹がすいたと泣いている。 この話を当時の名主、伴久衛門が聞き、蔵の米…

雪崩の大音響

湯西川の伴久旅館で語られた不思議な話。 ある年の冬のこと、田代山に杓子作りに出かけた村人七人が途中雪崩に逢い帰らぬ人となった。 丁度そのとき現場から南里も離れた慈光寺の本堂で雪崩の大音響がした。栃木県教育委員会編『栗山の民俗 栃木県民俗資料調…

ウシロガハラ

那須郡大山田村にある地名。ウシロガハラの畑は、「禰宜様以外の人が作るとカカアが死ぬ」という。 ( 國學院大学民俗学研究会編・発行「民俗採訪」 昭和二十八年度号 1954年 p17)

狐かげん

那須郡大山田村でいう言葉。 狐に化かされやすい利口でも馬鹿でもないひとのことをこう呼ぶ。 狐は馬鹿な人は馬鹿にして化かさず、利口な人は化かされてしまうといって化かさないのだという。 ( 國學院大学民俗学研究会編・発行「民俗採訪」 昭和二十八年度…