とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

野木の明神さまの蛇

野木明神の本体は蛇だという。昔、偉い神様が日光街道をお通りになるときに方々の神様が出迎えたが明神様だけが出てこない。出迎えさせようとして訪ねてみると、一の鳥居から三の鳥居まで七巻きまわるほどの蛇が出て来た。あまりにも大きな体であったため、出迎えることも無理だろうというので、鳥居を七巻きまわり首を一の鳥居の上に乗せて神様を出迎えさせたという。

また、直接関係があるかはわからないが、次のような話もある。
病気の子どもを持った親が、明神様に二十一日の願をかけた。明日が満願という日、参道に大きな松の木が倒れていた。よく見ると大蛇であった。その大蛇をまたがなくては神様のところまで行くことができない。親はとうとうまたぐことができずにそのまま家に帰ってしまったところ子どもは死んでしまったという。
(古河市史編さん委員会 『古河市史 民俗編』古河市
p951 1983年)