とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

椿坂の化け物 椿坂の古狸

黒磯市那須市の境、西岩崎から半俵の間に椿坂という坂がある。半俵の半兵衛という人が駄賃つけて大田原から帰ってくると、その坂では夜になってしまう。その坂では「市兵衛さん今かい」と毎晩聞こえる。いつも声をかけてくれてありがたいからここへ来なさいというと坊さんが現れた。
家へ帰ってお礼がしたいから馬に乗りなさいと載せた。
市兵衛さんは荷縄でよく縛って半俵の我が家へ帰ってくると妻へ火を燃やす準備をしろといった。坊さまをおろして釜の中へいれた。火を燃やしたが、灰をとる穴から逃げてしまった。

それから坂のところへくると「おそやぎりの市兵衛さんは今かい」と言葉をかける。 やぎりとは毛を火で燃やすことである。
それからしばらくして市兵衛さんの隣の家で夜寝ていると足をくすぐるものがある。
加助さんといういたずら好きの若い者がいたのでまたそれだと思って、布団をあげてみると狸なので火箸で刺し殺した。それから後は椿坂の化け物は出なくなった。