とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

継母の怨霊

今野圓輔が「犬著聞集」からとして著作のなかで紹介している。
下野国那須の下蛭田村に助八という男があった。
実の父母は早く死に、継母ばかりであったが、助八はこの継母に辛くあたった。ある日助八に向かって、「お前は私をひどい目にあわせるが全て物には報いという事がある。やがて思い知らすぞよ」と睨んだ。やがて継母は病気になり死んだが、その夜から怨霊が現れる。助八は恐ろしさあまって妻子を捨て髪を剃って湯殿山に入り、諸国修行に出で立ったという。

(『日本怪談集 幽霊編』 下 中央公論新社 2004年 p21)