2018-11-04 あづきっとぎ 栃木市の話。 昔子どもたちの仕事は子守り、風呂汲み、それから夕方の酒買いだった。人家もまばらで外灯もないところを徳利をさげ、小銭を温かくなるほど握りしめていく。 ひどいぼさっか(薮のこと)の中の用水堀沿いの道を走るように通り抜けようとすると、 ザザッザザッ と小豆でもといでいるような音が川端から聞こえてくる。 のぞいても誰もいないし、のぞいて見るだけの勇気もなく、涙をすすりながら家の灯にむかって走り出すものだった。 (『栃木市史』民俗編 p752)