とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

あづきっとぎ

栃木市の話。
昔子どもたちの仕事は子守り、風呂汲み、それから夕方の酒買いだった。人家もまばらで外灯もないところを徳利をさげ、小銭を温かくなるほど握りしめていく。
ひどいぼさっか(薮のこと)の中の用水堀沿いの道を走るように通り抜けようとすると、
ザザッザザッ
と小豆でもといでいるような音が川端から聞こえてくる。
のぞいても誰もいないし、のぞいて見るだけの勇気もなく、涙をすすりながら家の灯にむかって走り出すものだった。
(『栃木市史』民俗編 p752)