とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

2018-02-12から1日間の記事一覧

青衣の大坊主(命名)

小山市に伝わる。 小山市美田だが、その本郷に薬師堂がある。この薬師堂の近くの墓地は蛍の名所である。農薬が普及しない前は、夏の夜は夜もすがら、娘や子供たちが螢狩りをしたもので、水田を渡る夜風に吹かれながら、夢のように光る虫を追うのは、楽しく美…

尾藤塚の狐

小山市に伝わる 小山郵便局裏の光照寺の門の側に尾藤塚がある。以前は寺でなく、駅辯を出している柏屋の家敷になっている辺りに小じんまりした囲いの中にあった石碑である。笠間藩と関係があるためか、狐が出た。これはお約束通り小雨の夜に限ったようで、夜…

思川の狸・投石

思川の狸は、夜づりの人をおどかしもした。鉄橋下から天翁院下までの間で、上流から流して釣糸を遊ばせて来ると、突然、大きい蛇籠が三つ四つ、廻転しながら流れてくる。驚いて糸をたぐり寄せて岸に上ると、どこから共なく、拳大の石が飛んで来る。捨て舟や…

狐火・狐の嫁入り

南河内村町田に伝わる。 思川の鉄橋を渡って列車は大きくカーブを切ると遠く栃木の灯が見える程に直線コースに入る。列車が谷新田の踏切りを通過する頃、附近の農家の人が寄り合いでもあろうか、十七、八人いずれも白提灯を提げて線路わきの道を歩いて来るら…

一つ目の疫病神

塩谷郡藤原村大字芹沢に伝わる。 十二月七日の夕より、翌八日の夜明け一杯ーを、各戸では日頃使用している大きな目籠(めかい)を大戸の前に吊すか懸けたりするのである。この行事は二月七日の夕にも行われるから一年の間には、前後二回の事が繰返される訳で…

雷神・雷獣

塩谷に伝わる 古老などは、とぎすました草刈鎌を、長い棒に逆さにしばりつけ庭にたてた。これは落雷の際、雷神(雷獣といって猫に似たけものが乗ってくると考えていた。)を真二つに切り殺してしまうというつもりであった。 (塩谷地方の雷と信仰)

天狗

南河内村町田に伝わる 昔、薬師寺の伊勢崎某家に木にのぼり岩に拳するのが猿のように上手な子がいた。よく八幡神社の境内で遊んだ。ある朝、今日は笠間(茨城、笠間稲荷、東方約三十キロ)の祭日なので今から行ってくるとその子が言う。母は朝飯までには帰れ…

枕返しの幽霊画

黒羽にある曹洞宗の寺院、大雄寺に伝わる。明治の末の頃、黒羽の大雄寺に茨城から来た旅人が止まった。明け方、布団が半回転をして枕元にあったはずの幽霊の絵が足の方にあった。このことから、町の人はこの絵を枕返しの幽霊と言うようになった。(今野圓輔…

蛙(かわず)鳴かずの池

田沼町総合運動場の入り口に愛宕神社の下の宮がある。鳥居の側に「蛙鳴かずの池能忍地」と刻んだ石碑が西に面して立っている。今は神社の東側は田んぼになっているが、ここに五メートルくらいの池があり「蛙鳴かずの池」といっていた。 昔はこの池にたくさん…

からら、からから

野木村(現野木町)に伝わる。「がらがら」とも。 茨城県古河の女性が娘の手を引いて野木神社の杉並木を遠くに見ながら、古河辺りの人家の灯が見え始めたところまで来た。突然参道の杉並木の半ば辺りから、大きな火の玉が舞い上が り二人の側へ来て、頭上を…