とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

からら、からから

野木村(現野木町)に伝わる。「がらがら」とも。

茨城県古河の女性が娘の手を引いて野木神社の杉並木を遠くに見ながら、古河辺りの人家の灯が見え始めたところまで来た。突然参道の杉並木の半ば辺りから、大きな火の玉が舞い上が り二人の側へ来て、頭上をかららからからと妙な音を立てながら、野木ッ原の方角へ飛び去って行ったという。火の玉といっても、速い速度であっと思う間に消えていく。頭の上にきたときに見えたことには、丸い籠のようなもので、いくつも穴があり丁度竹で編んだ籠目のような穴の中に黄がかった赤色の火を輝かせて、くるくると回転しながら、かららからからと音を発し野木ッ原に飛んで行ったという。 

野木神社の付近に住む古老には野木神社のがらがらは貉であり、夜になると二の鳥居あたりから舞い上がって野木ッ原に飛んでいったということを言う人やそれを受け、貉は空を飛ばないので何かの鳥がかららからからと聞こえたのではないか。という人もあった。

古河市史編さん委員会(民俗部会)編『古河市史資料第6集 古河の昔話と伝説』古河市教育委員会 1978年 p72)