とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

枕返しの幽霊画

 黒羽にある曹洞宗の寺院、大雄寺に伝わる。

明治の末の頃、黒羽の大雄寺に茨城から来た旅人が止まった。明け方、布団が半回転をして枕元にあったはずの幽霊の絵が足の方にあった。このことから、町の人はこの絵を枕返しの幽霊と言うようになった。(今野圓輔『日本怪談集幽霊編』下 中央公論新社 2004年 p124)

 なお、大雄寺は2014年にこの話を漫画化している。(芦月とぉる 『黒羽山大雄寺 枕返しの幽霊』大雄寺 2014年)

「産経ニュース」の 2016年9月3日に公開した記事「北関東怪奇伝説」には「同寺の住職、倉沢良裕さん(65)によると、掛け軸は江戸中期、黒羽藩江戸屋敷を通して供養のため寺に持ち込まれ、寺宝として大切に受け継がれてきたという。描いたのは絵師、古柳園(こりゅうえん)鶯居(おうきょ)。母親の肖像を描いたと伝えられている。 幽霊の絵はどの角度からもにらまれているように見える「八方にらみ」の構図で、現在は本堂に掛けられているが、かつては怪談の通り、庫裏に飾られていた。「掛け軸の前で寝ると、枕が東向きになる」という伝承もある。これまで、地元青年会などが「肝試し」として掛け軸の部屋に泊まったこともあったというが、一晩過ごした青年はいなかったらしい。」という話や旅人の止まった部屋は庫裏の「牡丹の間」であることなどが記されている。

「北関東怪奇伝説」「産経ニュース」 2016年9月3日公開(https://www.google.co.jp/amp/s/www.sankei.com/premium/amp/160903/prm1609030010-a.html 2018年10月2日閲覧)