田沼町総合運動場の入り口に愛宕神社の下の宮がある。鳥居の側に「蛙鳴かずの池能忍地」と刻んだ石碑が西に面して立っている。今は神社の東側は田んぼになっているが、ここに五メートルくらいの池があり「蛙鳴かずの池」といっていた。
昔はこの池にたくさんの蛙が住んでおり、毎晩鳴き声が聞こえて、近くの人は安眠を妨げられていた。
ある時歌人を読んで、蛙が鳴かなくなるよう歌を詠んでもらった。すると、それからというものは蛙がいくらいても一匹も鳴かなくなったという。どのような歌だったかの記録は残っていない。
(田沼町編・発行『田沼町史 第一巻 自然・民俗編』1982年 p513)