とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

ゴーへ

 ゴーへドリとも。栃木県南部に伝わる。夜泣く鳥のことであるが、子どもを脅すのに使われた。 かつては梟やミミズクなどの方言とされることも多かったが、今日は個人ごとに鳩、キジなど多様な鳥が想定されているのが現状であり、また、ゴーへに限らず鳥の生物学的な同定は目的ではないためここでは言及しない。

 その鳴き声は「ゴーへゴーへテレスケデーコ、ブッッァクゾ」などと聞きなしされた。

 子どもがふざけていると、ゴーへが来るといって脅した。(「栃木市岩舟の世間話」世間話研究会編・発行「世間話研究」26号 2018年)同様の話は茨城県古河(古河市史編さん委員会(民俗部会)編『古河市史資料第六集 古河の昔話と伝説』古河市教育委員会 1978年)などでも確認できる。

 昔話や、主に笑いを目的とした小話としてゴーへが登場するものには、次のような話もある。五郎兵衛や五平というあわて者が、大根を風呂敷に入れて用足しの帰り(あるいは人の田から大根を盗んだとも)に、「ゴーヘイテレツクテーコ」という梟の鳴き声を「五郎兵衛風呂敷大根」と呼んだと勘違いして逃げ去った話で、埼玉県や群馬県にもある。(井田安雄「群馬の「小話」について」「世間話研究」14 2004年 p129~130や鈴木棠三『川越地方昔話集』の五八話「五郎兵衛と天狗」など)

 こうした人の名前を呼ぶ話はゴイサギとして語られる例もある。

 こうした昔話では五平鳥と表記されることが多い。

 こうした鳥が栃木ではゴーへとかゴーへドリとして子どもを脅すのに使われていた。

 

 

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