とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

ゴイサギ

ゴイサギ

 むかしむかし、五兵衛って人がいた。ある時、五兵衛は遠くの村まで用たしに行ったが、夜になってしまった。月も出ておらず、まっ暗な夜道をひとりで、歩いて来た。帰り道、鎮守様の大きな森の前を通りかかった。ただでさえ暗かった、ほんとにまっ暗な森だったと思われる。すると、急に森の中から、

「ゴヘエ、ゴヘエ、デレスケ、テーコウ、ブッツァクゾ。」

 という声が聞こえて来た。この声が、この森にいっぱい住んでるゴイサギの声だと、しらなかった五兵衛は、驚いてしまって、てっきり、おいはぎがおどかしているんだと思い、持ってたふろしきづつみをぶんなげて、「カラッカラ、カラッカラ」と逃げて来たという。

                                   採話地 都賀町

                                   再話 田島一利

(下野民俗研究会編『読みがたり 栃木のむかし話』 日本標準 2004年初版 225頁(親本は『栃木のむかし話』1977年)) 

 (都賀町史編さん委員会編『都賀町史』民俗編 都賀町 1989年 p460~461)にも同様の話がある。

 

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