河童と家伝薬
鹿沼市磯町のYさんの家に伝わる痔の薬の由来として次のような話がある。
昔、小倉川に河童がおり、大水が出るとよく橋が流されることがあった。そうするときれいな女の人が橋の所に立ち、若い男が来ると、向こうの村に行きたいが橋が流されいけない。背中に乗せて行ってほしいといって、若い男が背中に乗せていくと、急に河童になり川に引きずり込むという。
Y家ではもともと打ち身を治したり、骨接ぎをしていた。
そのためそうした患者を乗せるため馬を引いて、通りかかった。するとやはり女の人が馬に乗せてくれというので、馬に乗せ、縄で縛ると河童が正体を現し、馬を川の中に引きずり込もうとしたが、逆に引きずりあげられた。
岸にあげられた河童は、許してもらう代わりに痔の薬の作り方を教えたという。
実はこの話はY家に伝わるものではなく、Y家の女性が小学生の時に、学校の用務員に「Yさん家で痔の薬つくってんべ。カッパが教えてくれたって話、知ってっかい」といって話したという。
家に帰って聞くと、河童の話は聴けたが、薬を教えた話は答えてもらえなかったという。