とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

尾藤塚の狐

小山市に伝わる

小山郵便局裏の光照寺の門の側に尾藤塚がある。以前は寺でなく、駅辯を出している柏屋の家敷になっている辺りに小じんまりした囲いの中にあった石碑である。笠間藩と関係があるためか、狐が出た。これはお約束通り小雨の夜に限ったようで、夜更けて光照寺裏を通る男の眼に、素敵な美人が、尾藤塚の前でもの思わしげに立っているのが見える。唯、通れば何事もないが、酔っていたり、余り上等でない下心などがあって声をかけると、その美人はどこまでもついて来る。そして歩けども歩け共、尾藤塚の周辺から他に歩きつかない。と気がつくと美人は消えて、悪寒に襲われ、二、三日は寝込む結果となるのである。(「民俗随想 忘れ柿(小山化かされの巻)」)