田沼市に伝わる。
吉水中江川に、根岸家の総本家がある。同家の近くに慶安寺があったころの昔のことである。
慶安寺の若い僧が同家の下女と情を通ずるようになり、下女は子を身ごもった。ある日、僧は曲者と思われ、夜回りの番頭に刀で斬り捨てられた。下女は同家の風呂場でお産をしたそうだが、その後は未詳。
仲江川の子どもに病気が流行り、占ってもらうと、殺された僧が出た。
騒ぎになり、僧形を彫った石塔を造り供養した。
旧の二月二日には中江川中で供養をしている。二月二日は僧の命日であろう。
(『田沼町史』p514~515)