キンネモン爺さん
大平町に伝わる。
昔、あるところにキンネモンさんという怠け者の爺さんがいた。「もし、死んだら左足のももんとこへ、馬キンネモンと必ず書いてもらいたい」と言った。それからキンネモンはしばらくせずに亡くなり村の衆は約束をしたので、左足のところに馬キンネモンと書いて葬式を出した。
三年たち、キンネモンじいさんとこの馬がお産をした。生まれた仔馬には左足のもものところに「馬キンネモン」と黒いあざがあったという。そんで周りの衆はキンネモン爺さん生きているときは怠け者だったが、馬に生まれたとなると、毎日尻ぶたれて働かなくてはならないと哀れんだという。(下野民俗研究会月曜会『民話の海へ とちぎの新しい民話集』随想舎 1994年p64~67)