田沼町での話。 「ナラの木でミツマタが出ているのを山の神様にあげると、山の神様がそこで休むといわれる。そのナラの木を二・三年前に切ったら「ヒエーヒエー」と音がして切りくずを吹き出したという。しかし賢い人がいて、山の神様の怒りでないことを説き聞かせたので、そのまま切ってしまったのだという」 (国学院大学民俗学研究会編・発行『民俗採訪』四十一年度 1967年 p75)
二又(ふたまた)になっている木を山の神様のものとする事例は日本各地にある。このことから類推するにミツマタというのは三又になっている木のことだろう。