とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

十の字

ムジナには白い毛で十の字がかかれている。
本当に見たことのある人は少ないが、鉄砲うちに見せてもらうと本当に胸に縦に一本、へそのあたりに横に一本、白い毛で十の字がかかれていた。
「あいつはムジナだ」とか「十の字だ」という悪口がある。
(『栃木市史 民俗編』p751)
茨城県土浦には、眉と鼻筋の毛が白く、遠くから見ると十の字に見えたことから「十の字むじな」と呼ばれたムジナがいて、家の戸を叩いたという話もある。( 「いばらきいすゞ自動車株式会社 ふるさとの昔ばなしシリーズ土浦市 十の字むじな
https://www.ibaraki-isuzu.co.jp/story/detail/id=193 2018年10月12日閲覧)
栃木県ではタヌキとムジナは別の動物と考えられ、ムジナにはこうした十の字があるとされた。
タヌキとムジナは動物学では同一視されるが、本県では狸狢事件などがある。 捕獲を禁止されていたタヌキをムジナと判断し捕獲をしたため、裁判になった事件で、被告人は無罪となった。この判例は法律の教科書などで広く知られている。