黄梅寺の生まれ変わり
南河内に伝わる。昔、黄梅寺という寺があった。現在は石碑と印塔だけが残っている。
見龍という僧侶は人に慕われ、亡くなったときにまた黄梅寺の僧侶に生まれ変わってもらうために墨で背中に黄梅寺と書かれた。背中に黄梅寺とかけばそういうあざの赤子が生まれ、寺に知らせが来る、そしてそのあざも葬った後の墓の土でふけば消えるということを村の物知りが言ったためである。
それから何年かがたち、吉田村の人々が三人ほど伊勢神宮に行った。
大津の宿を出ると、大きな黒牛が来た。牛追いが何をしても動こうとせず、吉田村の人々を見ながら涙をこぼしている。
牛の背中にはあざのようなものがあり、よく見ると黄梅寺の文字であった。(南河内町立図書館編『みなみかわちの伝説』南河内町南河内図書館 2002年 p30~31)