とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

七つ石

小山市に伝わる。

小山の須賀神社には七つ石といって大きい庭石が七つある。

高木敏夫『日本伝説集』(1913年に郷土研究社から刊行)には小山の木村兵からの話で小山判官遺愛の石と表札書いてあるが、四、五十年前に隣国の結城の大名に献上するため石を大八車に乗せたが、小山と結城の境で五助稲荷で有名な五助まで来ると、重くなり、石は鳴り出した。もと来た方へ引き返すと非常に軽くなった。44年前まで判官の家にあったものを須賀神社へ移動したという話が記されている。(高木敏夫編『日本伝説集』ちくま学芸文庫 2010年p54)

  野村純一はこの伝説について「結果として境標示としての機能を果たしており、しかも、間接的に「石」そのものの選択意思を伝達していた。要するに神意の表示、具体的には神託・託宣にほかならない。この場合は「塞ノ神の石」と認められよう。それが「七つ石」であった。」と述べている。(野村純一「七不思議とは何か」大島廣志編『野村純一 怪異伝承を読み解く』アーツアンドクラフツ 2016年   p103)