とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

一つ目の疫病神

塩谷郡藤原村大字芹沢に伝わる。

十二月七日の夕より、翌八日の夜明け一杯ーを、各戸では日頃使用している大きな目籠(めかい)を大戸の前に吊すか懸けたりするのである。この行事は二月七日の夕にも行われるから一年の間には、前後二回の事が繰返される訳である。村の古老に訊ねてみると、「この夜は、一つ目の疫病神が沢山の疫病を背負って一軒一軒覗いて歩き、自分より怖ろしいものがいない家にその疫病神を置いて行くので、それで各戸では俺の方が目が多いぞ、怖かったら退散しろ……という意味で目籠を出して置くのだそうである。いわゆるコト八日の行事である。

(「芹沢風俗誌其の一」)