とある地域の妖怪事典blog

下野国を中心として、怪異妖怪俗信など広く拾っていきたいと思います。地域の文化や伝承の再発見、教育のためなど広くご活用いただければと公開しました。

蛙(かわず)鳴かずの池

 田沼町総合運動場の入り口に愛宕神社の下の宮がある。鳥居の側に「蛙鳴かずの池能忍地」と刻んだ石碑が西に面して立っている。今は神社の東側は田んぼになっているが、ここに五メートルくらいの池があり「蛙鳴かずの池」といっていた。

 昔はこの池にたくさんの蛙が住んでおり、毎晩鳴き声が聞こえて、近くの人は安眠を妨げられていた。

 ある時歌人を読んで、蛙が鳴かなくなるよう歌を詠んでもらった。すると、それからというものは蛙がいくらいても一匹も鳴かなくなったという。どのような歌だったかの記録は残っていない。

田沼町編・発行『田沼町史 第一巻 自然・民俗編』1982年 p513)